Saturday, April 01, 2006

着信

着信音がなった。
"0905623****"
未登録番号からの着信だ。誰だろう?
「はい。」
俺は電話に出るとき、基本的に名乗らない。誰だか分からない相手に自ら名乗り出るのは嫌だからね。
「あのー、ユミカ君?」
「はい。」
「私、笠宮 姫依だけど、分かる?」
「えっ!笠宮さん?どうしたの?」
彼女は高校時代の同級生。そして俺が密かに想いを抱いていた女性。しかしながら言葉を交したことはほとんど無く、想いを告げることもなく終わった。
当然俺は彼女の番号さえ知らない。
彼女は話を続けた。

「あのさー、修学旅行の時に私とユミカ君が一緒に写った写真があったから渡したいんだけどいいかな?」
「そんなのあったっけ?」
「うん、あるよ。今、暇?」
「あぁ。」
「じゃあさ、今から私の家来て。場所知ってるよね?」
「いや、知らないよ。」
「消防署のすぐ前の赤い屋根の家、玄関に笠宮って書いた表札があるよ。」
「あぁ、分かった。なら今から行くよ。」
「うん、待ってるね。」

えぇ、まさに驚きだ。彼女が俺に電話をかけてくるなんて。それに修学旅行の写真なんてある訳がない。行くコースが前の全く違っていたといのに。
一体だれから俺の番号を聞いたというのだろう。
彼女も俺に気があるのだろうか?いや単なる俺の思い込みだろうか?
高ぶる気持を抑えきることが出来ないまま、彼女の家へと俺は向かった。
家の前で彼女は待っていた。

「ユミカくーん、久しぶり。ごめんね、急に電話で呼び出しちゃって。トモちゃんから番号聞いてさ。まぁ、とにかく上がって。」

言われるまま、俺は家に上がった。

「すぐ戻るからちょっとこの部屋で待っててね。」

彼女が出て行くとすぐ、携帯がなった。

"笠宮 姫依"

さっき登録したばかりの彼女からの着信。なんで電話鳴らすしてるんだ?

「おーい、俺の電話ならしてる?」

廊下に出て、叫んだ。しかし返事がない。携帯電話はなり続ける。仕方がない、電話にでるか。

「はい、もしもし、何?」

               ==続く

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